私たちの暮らしは、仕事に家事に目まぐるしく過ぎていきます。毎食手の込んだご馳走を用意するのは難しくても、買ってきたお惣菜を器に移したり、パッと作った料理でも「おいしいね」と自分や親しい人、家族と食卓を囲む時間は、何にもかえがたいものです。
今年、2026年で誕生50周年を迎えた白山陶器の「マルティブルー」。
1976年の発売当時、このシリーズは英語で“多用途”を意味する「Multi-purpose(マルチパーパス)」と呼ばれていました。当時はブルーのほかに黄や赤を加えた3色展開で華やかにデビューし、その後、「青」だけが残り「マルティブルー」の愛称で長く親しまれるようになります。
デビュー当時の製品カタログを開くと、そこには現代の私たちのリアルな暮らしを優しく包み込むような、実直な言葉が記されています。
── 1976.7.20 カタログ9号の言葉
洋風生活にひかれながら、和風生活も捨てきれない、 そんな現代のくらしの中で”やきもの”については、 まだまとまりにくい要素が沢山残されております。
白山陶器のデザイン室は新しいライフ・スタイルに焦点をあわせ、これ等の問題をひとつずつ解決しながら、 使う立場にたって楽しい食卓づくりをモットーに更に意欲的な新製品を発表いたしました。この上ともご愛用下さい。
高度成長期を経て、世界中の料理が家庭の食卓に並ぶようになった時代。
和洋のボーダーレスな食事を心地よく楽しむために生まれた「マルティ」シリーズには、日本の伝統的な「誰専用のお茶碗」というようなパーソナルなアイテムが存在しません。揃えられているのは、サイズ違いのボウルとプレートのみ。そこには、メニューや用途を選ばない潔い機能美が宿っています。
誰の器でもあり、誰か限定の器でもない――。使う人や料理を縛らない寛容さがあるからこそ、飾り気のない日々の家庭料理を温かく受け止めてくれます。
秋のメニューが恋しくなる季節、飾らない日常の食卓をマルティブルーで。
“5号ボール” をどんぶり代わりに使った気軽なお昼ごはん。
お昼ご飯と同じボウルが、夜はシチューの器に。
毎日、気兼ねなく使えるタフさと、料理を引き立てる確かな美しさ。
その質実剛健な佇まいは、白山陶器の職人たちが日々積み重ねる、実直な手仕事によって支えられています。今日も高い集中力をもってつくり続けられる、「4号ボール」の製造工程をご紹介します。


適度な硬さに調節した適量の粘土を石膏型に投入し、金属のコテと型を回転させ形をつくります。


石膏型は水分を吸収します。
生地から少し水分が抜けたところで型から取り出します。


生地は乾燥させた後、カンナやスポンジでなめらかに整えます。


よく乾燥させた生地を素焼窯に入れ、約900℃の炎で焼成します。


素焼後、検品しながらエアーブラシで土の粉をはらい落とします。




パット印刷機を使ってロゴマークを転写します。


酸化鉄が主成分の




鮮やかな青に発色する


縁に


呉須の部分に触らないようにしながら




本窯へ入れ、1300℃の還元炎で約12時間焼成します。


窯が冷めた後、棚板を外しながら器を出します。


50年間一度も形を変えずクオリティを保ち続ける。それこそが白山陶器の守り続けているものづくりです。 昭和から平成へそして令和へ、時代を超えて私たちの日常に残されてきた「マルティブルー」。
今日のごはんを等身大のまま、静かにそして温かく支えてくれる器を、ぜひみなさまの暮らしにも取り入れてみませんか?
