伝統的な絵付技法「濃み」の魅力。

1968年から生産・販売を続けている「ねじり梅」シリーズ。
茶器や飯碗など日本の家庭用の基本の食器を丸味のあるモダンで親しみやすいフォルムデザインとし、肥前地区の伝統技法「呉須 み」を用い家紋の「ねじり梅」を描きました。
伝統的な技法の継承とともにあるロングライフデザインの象徴でもある「ねじり梅」から、6寸和皿の絵付の工程を少しご紹介します。

「ねじり梅」シリーズは2011年グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞しています。

錆蝋付 さびろうづけ
ねじり梅用に滑らかに仕上げられた生地が用意されます。
デザインのアクセントに「縁錆」が施されます。


梅の花弁を線描きした後、専用の「濃み筆」にたっぷりと絵具を含ませ、指で調節しながら彩色します。
絵具の水分を操る筆の軌跡が 濃み足 だみあし として残ります。

絵付が完了し、施釉を待つ素地
多孔質な素地は絵具や釉薬が吸い付きやすくなっています。

施釉
焼上がるとガラス質になるコーティングを施すために釉薬をかけます。
ムラにならないようにスピードを加減しながら、一枚一枚釉薬の中を通します。

窯積み
素地はまだ脆いため、丁寧に窯に積みます。
1300℃の還元焼成。窯で高温になり溶けた釉薬は焼結すると透明な層になります。

焼上がり
白磁に映える呉須の鮮やかさが生まれる瞬間。
この後検品や高台の研磨を経て出荷・販売となります。

古典的な紋様を伝統技法と大胆なアレンジにより、モダンなフォルムと見事に融合させたデザインは発売以来、アイテム構成に多少の変遷を経ながらも、幅広い層の生活者から支持を得て使い続けられています。

完成品 (6寸和皿)

「付出し皿」の美しい濃み足

絵付け職人の息遣いを感じることができます。

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白山陶器のものづくり